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(続きましたw)





 ジェノヴァの港が近づいてくると、私は甲板にゆっくりと上がり、そこで一つ深呼吸をした。


 風の匂いはそれぞれの海にそれぞれの違いがあって、どれも同じではない。


 とりわけ、ここの風…地中海の風は格別だ。それは最も慣れ親しんだ風だからということもあるだろうが、やはり久しぶりにここに戻ってきたからというのが大きい。


 商会長からの手紙を受け取った私は、あの後すぐに準備を整え…もちろん、実際に準備を整えたのはハンスだ。出港準備の命令をハンスに下したあと、私は二度寝した…こうして我が商会のある街、ジェノヴァに戻って来たのだった。


 久しぶりに戻ってきた街を見て回りたい気持ちもあったが、私はそれをぐっと抑えると、足早に商館の立ち並ぶ地区へと向かった。あの手紙は…きっと商会で何かトラブルがあったからなのだろうと予想していたからだ。


 表札に『ジェノヴァの風』と書かれた商館へたどり着くと、私はその扉をくぐった。


 と。


 一見して、私はその光景の異様さに驚いた。建物の大きさの割にはいつも人がおらず、寂れた様相を見せているのが常であるその場所が…もちろん、それは当たり前だ。商会員達は航海者なわけで、当然、誰もが世界各地にちらばって交易なり冒険なり海事なりをしているのだから…しかし驚くべきことに、人の熱気に溢れていたからだった。


 誰も彼も見知った顔ではあるものの、それは偶然どこそこの街で出会って挨拶を交わし…などといったことがほとんどであって、ここまで一つの場所に集るということはあまりない。ましてやこの顔ぶれを見る限り、『ジェノヴァの風』のほとんどの商会員がここに集っているように見える。これは非常に珍しいことだ。


 結論から言うと、商会員達がこうして集められたのは、何らかのトラブルが原因というわけではなかった。


 それは…むしろ、トラブルの方がどれだけ良かっただろう、と思えることだった。





 彼女と出会ったのは、私がまだ駆け出しの商人だった頃だ。同じ商会の商会員ということで、国は違っても気楽に言葉を交わせる仲だった。見た目は明らかに子供のような格好をしていた彼女だったが、まぁ、子供が大きな船を駆って航海に出るわけもないだろうし、いろいろと事情があったのだろう。わざわざそれを聞くというのも野暮な話だ。


 ともかく、彼女とは度々艦隊を組んでは大海原に乗り出し、商売に精を出したり、見たこともない場所に連れて行ってもらったり、船を並べて戦ったりもした。それは一つ一つ思い出すことに何の意味もないほど、とても自然で、とても長くて、とても楽しい時間だった。


 その彼女が、航海者を引退する。それが、こうしてみんながここに集った理由だった。


ジェノ風集合す


別れの挨拶


集合写真


花道


 今でもこの写真を見ていると、胸が苦しくなる。だけれどその時、私は笑顔でいられたと思う。最後まで楽しく、明るく、元気に送り出すことができたと思う。



 私はジェノヴァに吹くこの風が大好きだ。


 だから私は、この風がずっと吹き続けていればいいな、と思う。


 いつか彼女がこの風をどこかで感じた時、またひょっこりと戻ってきたくなるように。







あれからしばらく経ちますけれど…
今でも元気で暮らしていますか?

『ジェノヴァの風』は、今日も吹いています!!









































おまけ
終わってるのはオマエだ
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2008.03.23 Sun l 未分類 l COM(0) TB(0) l top ▲

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